仮想通貨のセキュリティ

仮想通貨のリスクって何?知っておきたい3つの脅威と資産防衛術

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コインチェックNEM流出事件によって浮き彫りになってきた仮想通貨のリスク。

日本円にしておよそ580億円という仮想通貨史上最大の盗難(強盗といってもいいぐらいの)事件が発生し、これからビットコインやイーサリアムなどを購入しようとしていた人たちも「仮想通貨ってやっぱり危ないのかなぁ?」と及び腰です。

 

「危なそう」の一言で仮想通貨への投資を諦めるのもひとつの手ですが、もう少し突っ込んで「仮想通貨にまつわるリスク」を把握したうえで投資判断をした方が良さそうです。

なんにせよ「億り人」続出の世界ですからね。

ここでは4つの仮想通貨リスクを題材にして解説、虎の子の大事な資産を守り抜く方法について紹介していきます。

 

リスクとリターンは合わせ鏡?

まず始めに「リスクとはなんだろう?」ということから解説をしていきます。

リスクって聞くとなんだかマイナスのイメージがあるかもしれませんが、金融用語では「将来のリターンの不確実性」のことを指します。

たとえば年10%のリターンが期待できる投資商品があるとして、この商品は8%程度はマイナス成長する可能性があるといった具合です。

 

リスクが高いとは「利益と損失の幅(の可能性)が高い」ということで、リスクが低いとは「利益と損失の幅(の可能性)が低い」といった意味となります。

ただし将来のことは誰にも分からないので、あくまでも可能性のお話になります。

 

リスクプレミアムという概念

リスクプレミアムは以下の式で求めることができます。

①金融商品の期待収益率-②安全資産の金利

ここでいう安全資産とは国債を指すことが多く、たとえば現在の日本国債は10年債で0.05%ほどの金利です。

 

安全資産が安全かどうかという議論はまたの機会にお話しするとして、リスクを嫌う方は預金や国債などへの投資をするでしょう。

しかしそれだけでは資産の増加スピードが遅いので、多少のリスクにさらされてでも資産を増やそうと考える層は、期待収益率の高い金融商品、たとえば株式や不動産などへの投資をします。

株式のリスクプレミアムは5%ほどとされており(機関や銘柄などにより変動)、安全資産の金利が1%であれば期待収益率6%となります。

 

仮想通貨ほどでないにせよ株式への投資はリスクが付いて回ります。企業の収益性減少や経済圏状況悪化などです。

こういったリスクと戦うことによってその対価としてリスクプレミアムを報酬として受け取る、という考え方が投資にとっては重要です。

 

仮想通貨のリスクプレミアム

正直申し上げるとこれは「分からない」が正解です。

リスクプレミアムを算出するためには過去のデータを長期間見る必要があり、誕生間もない仮想通貨のリスクプレミアムを測るのは愚策です。

ですが、これまでの金融商品と比較すると「価格変動が大きい=リスクプレミアムが大きい」となりますので、仮想通貨は非常に大きなリスクプレミアムがあるともいえます。

 

仮想通貨の主軸通貨であるビットコインは2017年の1年間で1400%ものリターンでした。

これは裏を返せば「リターンと同等に近いリスクも存在する」わけで、投資をする場合はそのリスクを考える必要があります。

 

通常の通貨にはどんなリスクがあるの?

「仮想通貨は危ない」と考える方は非常に多いですが、そもそも私たちが日ごろ使用している通貨だって様々なリスクが隠されています。

 

インフレリスク

まず顕著なのがインフレリスクです。

日本はバブル崩壊後「空白の20年(30年とも)」といわれる不遇の時代を送ってきました。

どんな時代だったかというと「デフレ(デフレーション)」がずっと続いていました。

 

デフレは通貨価値が上がり物価の価格が下がるといった現象で、牛丼1杯200円台なんて時もありました。

こんな状況が続くと企業はいくら商品を売っても儲けが増えないので、自ずと従業員へのお給料も少なくなります。

お給料が少なくなると生活が困窮し節制をし始める、さらにモノが売れなくなるので価格を下げる、といった負のスパイラルに突入します。

ですから「日銀が2%のインフレをターゲット」としていたりするんですね。

 

インフレになれば負のスパイラルから解消され経済が明るくなる、というのが日銀の狙いですが、何事も行き過ぎは良くありません。

度の過ぎたインフレは「ハイパーインフレ」を引き起こします。

 

詳し内容は省きますが、過去にはジンバブエやアルゼンチンなど多数の国々がハイパーインフレに陥り国家の危機に追い込まれました。

ハイパーインフレが起きると国中に通貨が溢れかえり、1万円の価値が場合によってはパン1個を買うことも出来ないぐらいになることだってあります。

日本は今のところハイパーインフレの予感すら感じませんが、マネーサプライ(通貨の流通量)を決定するのは国なので、ある日突然起こる可能性もあります。

 

預金封鎖リスク

実は過去に日本でも預金封鎖(銀行から預金の引き出しができない)の事態に陥ったことはありました。

戦後まで遡ることになりますが、1946年に高止まりするインフレの緊急措置として預金封鎖が行われました。

具体的には「現在出回っている旧勘定の通貨は辞めて新勘定に切り替えるよ、その間は預金の引き出しを制限します」というものでした。

国民は毎日のように預金を引き出しにいきますが1回につき少額しか下ろせず、ついに新勘定に切り替わった時に引き出せなかった旧勘定のお金を失うことになりました。

 

現在の日本からは想像もできない事態ですが、国を挙げての壮大なパワーハラスメントはれっきとしたリスクとして存在します。

 

仮想通貨のリスク

通貨のリスクは「インフレリスクと預金封鎖リスク」となりますが、これはある意味ワンセットで起こるものですので、基本的にインフレリスクがあるということを覚えておけば良いでしょう。

それでは話を戻して「仮想通貨のリスク」についてお話していきます。

 

仮想通貨の仕組みをいまいち理解しきれていない方の中には「ネット上でやり取りする通貨なんて危ない」と思っている方も多いでしょうが、実は主軸通貨であるビットコインは2009年の誕生以来「1回も不正・改ざんされたことがない」んです。

ここでいう不正・改ざんとは「ビットコインの仕組みを不正に改ざんして通貨を盗む」という行為のことですが、ブロックチェーンという強固なシステムを破ったハッカーは皆無です。

だからといって「じゃあ仮想通貨は安全なんだ」とはなりません。以下、仮想通貨を取り巻く大きな4つのりすくについて解説します。

 

取引所リスク

仮想通貨取引で一番のリスクとなるのが「取引所リスク」です。

冒頭でも触れた通り、2018年1月26日に日本の大手仮想通貨取引所であるコインチェックにおいて、何者かによるハッキングで日本円にして580億円相当の仮想通貨NEMが、ものの20分ほどで不正に流出しました。

後述しますが、取引所に日本円を入金して仮想通貨に交換しただけでは「取引所に仮想通貨を預けているのと同じ」なので、万が一コインチェック社のような被害に遭ったとしても、その取引所が補償をしてくれない限りその仮想通貨は戻ってきません(コインチェック社は460億円の返金を発表しています)。

 

仮想通貨は「改正資金決済法」という法律が2017年に制定されたばかりで、まだ法律の整備は半ばといったところです。

同じような金融商品としてFXが挙げられますが、こちらはかなり法整備が進んでいて「分別資産管理(顧客と会社の資産を分ける)」によって、万が一FX会社が破綻に追い込まれても顧客資産は保護される仕組みとなっています。

国のお墨付きである「仮想通貨交換業者」への登録を済ませるには分別資産管理をする必要がありますが、FXのように万が一の際に資産を全額変換することを義務付けているわけではありません。

 

価値の毀損リスク

仮想通貨の価値とは一体何なのでしょうか。

ある人は「強固なシステム」といいますし、またある人は「ブロックチェーンの将来性」といいます。

他にも「世界中どこに行っても使用することができる」や「マイニングによる報酬」など様々です。

 

何を持って価値と決めるかはその人の”価値”感な訳ですが、ひとつだけ不変なことは「現実通貨との交換が可能」ということです。

これは「現実通貨が価値を担保している」とも言い換えることができ、1BTCが日本円で100万円で交換可能であればそれが「価値」ということです。

 

仮想通貨の価値は「欲しい人や売りたい人たちの需要と供給」によって日々変動しますが、それ以外にも価値に変動が起きる要素があります。

それが「仮想通貨の分裂」です。

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分裂イコール価値の棄損とはならず、場合によっては価値が上昇する場面もありますが、仮想通貨の良い面として「発行数上限が決められている」ということがあります。

ビットコインは2140年までに2100万BTCまでと定められており、それ以上増えることはありません(イーサのように発行上限が決定していない仮想通貨もあります)。

これは「過度なインフレを抑制できる」という側面を持つため、ならば先んじて購入しておこうという投資家も少なからずいます。

 

しかし、ブロックチェーン技術は「(知識があれば)誰でも仮想通貨の発行が可能」であるため、お金儲けのために仮想通貨を分裂させるといったグループが存在します。

本当に価値のあるものであれば分裂による影響もない(もしくは下がっても戻る)でしょうが、現実通貨を担保とした価値だけであれば少なからず価値の毀損が発生する可能性があります。

 

通貨特有のリスク

仮想通貨は1,000種類とも3,000種類とも言われ、今もなお増え続けています。

代表的な仮想通貨といえばビットコインやイーサリアム、ライトコイン、そして今回ハッカーの標的となったNEMなどが挙げられますが、それぞれ似たようで全然仕組みが違います。

たとえばビットコインがいま問題視されているのが「送金詰まり」で、ひどいときは1時間以上経過しても着金しないという状況も確認されています。

「世界中誰にでも送金できる」といった仮想通貨のメリットが、実は全然送金できないなんて事態にも発展しかねません。

 

他にもNEMであれば300万XEM以上の保有者はスーパーノードを立てることができ、320XEM(日当たり)前後の報酬を貰うことができますが、報酬原資はNEM財団からなのでいずれ枯渇すると見られています。

そうなればNEMのキツい売り浴びせが多発する可能性もあります。

 

このように、同じような仮想通貨に見えても実は中身が全然違うので、通貨ごとの特徴を抑えておく必要があります。

 

仮想通貨の資産防衛術

これらリスクを回避(完全に防げるわけではない)するには3通りの策があります。

ひとつは複数の取引口座に分けておくことです。

万が一経営破綻してしまっても資産へのダメージが少なくなるように分散させておくことが肝要です。

また、取引口座だけでなく取り扱う仮想通貨に関しても分散させることで被害を最小限に食い止めることができます。

 

そしてもうひとつは、「仮想通貨をウォレットに移す」ことです。

ウォレットとは財布を意味し、取引所にある仮想通貨(デジタル情報)をお財布(ウォレット)にしまうという認識で問題ありません。

ウォレットには以下の3種類があります。

  • ホットウォレット
  • コールドウォレット
  • ペーパーウォレット

 

ホットウォレットとは

ホットウォレットとはインターネット上にあるお財布と思ってください。

取引所の仮想通貨もホットウォレットですから、ネットが繋がっていて且つパスワードを知っていれば確認や送金が可能です。

2段階認証などでセキュリティを高めることが可能ですが、コインチェック社同様にセキュリティを突破される可能性もあります。

 

コールドウォレットとは

インターネットから切り離された状態で保管されたウォレットのことで、コールドウォレットには「ハードウェアウォレットとペーパーウォレット」があります。

 

ハードウェアウォレット

USBに仮想通貨のデータを入れて保管するイメージです。

とはいえ中に仮想通貨が入っているわけではなく、ハードウォレットの中にはアクセスするための秘密鍵が入っています。

この秘密鍵を使ってブロックチェーンにアクセスをすることで口座の仮想通貨を確認・送金などが可能になります。

 

ハードウェアウォレットは使用時にパスワードを入力する必要があり、設定回数以上の入力ミスがあると初期化されてしまいます。

復元するには最初に初期化した際のリカバリーフレーズの入力が必要です。

 

ペーパーウォレットとは

ペーパーウォレットはインターネットに接続していないのでハッキングリスクを限りなくゼロに近づけることができます。

非常に原始的に感じますが、最も安全な保管方法のひとつと言えるでしょう。

 

ペーパーウォレットは送信アドレスと秘密鍵を紙媒体として印刷し保管します。

ただし印字された用紙が劣化してしまったり火事で焼失するなどのリスクもあります。

 

まとめ

仮想通貨のリスクは大きく分けて

  • 取引所リスク
  • 価値の毀損リスク
  • 通貨特有のリスク

があります。

もちろんセキュリティリスクもありますが、これに関しては2段階認証やウォレットなどを併用することで軽減・回避が可能です。

「知り合いが仮想通貨で儲かっているから」といった単純な気持ちだけで投資をするのではなく、しっかりとどんなリスクがあるのか把握をして賢い投資を行うようにしましょう。








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