最近はテレビなどのメディアでも話題になっている「ビットコイン」ですが、「nanacoとかの電子マネーと一緒でしょ?」とか「そんな価値のないものにお金を払う気はない」など、まだ深くご理解されている方は少ないのが現状です。
この記事では「ビットコインとは何なのか」「ビットコインの仕組み」などについて、なるべく簡潔に分かりやすく説明をしています。
ビットコインとは
ビットコインは仮想通貨または暗号通貨とも呼ばれ、今非常に注目されている通貨です。
誕生当初は「なんだか怪しげな通貨だな」「円天と何が違うの?」とネガティブなイメージが先行していましたが、今や世界中の方が保有しており、日本でもビットコインによる取引を想定した改正資金決済法が可決されるなど、着々と準備が進められています。
ビットコインの歴史
ビットコインはサトシ・ナカモトと名乗る人物が投稿した論文に基づき有志のプログラマーたちがプログラムを構築、2009年1月に運用が開始されました。
開始当初は価値がゼロでしたが2009年10月に初めて値がつきます(終値1BTC0.07円)。
その後順調に値上がりしましたが、2014年に起きたマウントゴックスの破綻事件で12万円→3万円を下回るまで下落。
この騒動で一時下火となりますが2016年頃から再び上昇、2017年末には一時200万円を超えるなどその熱狂ぶりが伺えます。
ビットコインの仕組み
そんなビットコインですが、どういった仕組みで運営・取引されているのでしょうか?
大きな特徴は以下の2つです。
ブロックチェーン
通常、金融機関のデータは中央集権型といって、厳重に守られたサーバーに取引データが集約されます。
万が一サーバーをハッキングされたりしないように、多額の維持・保守費をかけています。
一方、ビットコインには分散型台帳技術が用いられています。
これをブロックチェーンと呼びますが、簡単に説明をすると「不特定多数のPCに取引データを分散」させるという技術です。
いつどんな取引をしたかの履歴を多数のPCが保有しているため、もしどれかのPCがハッキングに遭ったとしてもその他のPCが正しいデータを再生出来る仕組みです(保有者は匿名なので誰かは特定することはできません)。
管理者がいない?
通常、通貨の発行には管理を行う管理主体があります。日本では日本銀行(日銀)やアメリカであれば中央銀行(FRB)などがそれに当たります。
物価や金融の安定のために、通貨の発行や政策金利の決定などを行います。
しかしビットコインにはそれを管理する主体はありません。
理由は先ほど述べた通り、ブロックチェーンの仕組みによるものです。
ビットコインの仕組みを作り出したとされるサトシ・ナカモト氏は「通貨の歴史はその信頼への違反への事実である」と述べており、誰かが管理・発行をしている通貨の危機を感じ、ビットコインを開発したとされています。
でも、そうなるとビットコインは「誰がその価値を担保」しているのでしょうか?
ビットコインの価値
1万円札の原価は約20円ほどですが、1万円分の価値があるのは国が「この紙幣は1万円分の価値がある」と定めたからです。
1万円札を日本銀行に持っていけばいつでも1万円の通貨と交換するという信用のもとに成り立っており、いわば価値=信用というわけです。
ところがビットコインは通貨の信用を担保する管理主体がいません。ではどのようにして価値が見出されているのでしょうか?
そもそも価値というのは相対的なもので、誰かが価値があると思えばそれに応じた価値が生まれます。
ビットコインには以下のような価値があります。
発行量が決まっている
ビットコインはスタート時から発行量が決まっていて、2140年まで10分ごとに増え続け最終的に2100万BTCと定められています。
発行量が決まっているということは極めて重要です。
もし発行量が決まっていないとどうなってしまうのでしょうか?
無限に発行できる=ハイパーインフレの危機も
国の通貨は相対評価され、例えばアメリカドルと日本円は1ドル100円前後で長い間取引されています。
円高局面では1ドル70円ほどまで下がったり、逆に円安局面では1ドル130円ほどまで上がることもありました。
これは国=会社と見立てると分かりやすく、日本という会社の業績が悪ければ日本の価値が下がり、アメリカにおける円の価値も下がるから変動するわけです。
もし、国の業績がどんどんと悪化していくとどうなるでしょうか?
国は業績改善のために自国通貨をじゃぶじゃぶと発行し国内に流通させ、経済の活性化を図ろうとします。
それでうまくいく場合もありますが、誰もが信用せず価値を失った通貨はそう簡単に取り戻すことはできません。
ジンバブエが良い例で、通貨を発行しすぎてハイパーインフレを引き起こし、自国通貨の価値が紙くずになってしまった事例もあります。
このように通貨の管理主体が通貨発行量を操作できるということは、ハイパーインフレを引き起こす可能性があります。
ですがビットコインは発行上限が定められているので、こういった状態になることは極めて少ないと言えます。
2017年8月に、ハードフォークによるビットコインの分裂がありました。
本来発行上限が定められているビットコインですが、新しくビットコインキャッシュが誕生したことで信用価値が下がるのでは?という騒動もありました。
結果として一時的な下落のみで済みましたが、仮想通貨はこういったリスクもあるということは覚えておきましょう。
不正・改ざんされない
ブロックチェーンという新技術によって誕生したビットコインですが、初心者が手を出しづらいのはなんといっても「不正や改ざんはされないの?」ということでしょう。
実は過去に仮想通貨での不正事件は幾つか起きています。有名なのはマウントゴックスの事件で、日本でも大きく報道されました。
ですが、この事件は「内部による不正流用」で、第三者がデータを改ざんしたわけではありません。
ビットコインは2009年の誕生以来、内部犯行以外での不正・改ざん事件は起きていません。
その理由はブロックチェーンでも簡単に触れましたが、ビットコインは分散台帳システムにより参加している多数のPCが一斉にダウンでもしない限りシステムは動き続けます。
また一部がダウンしても再生が可能であるため、データが消失することもありません。
国や地域に依存されない
先ほども簡単に触れましたが、国や地域が主体となる通貨にはハイパーインフレなどの脅威があります。
その他にもカントリーリスク(戦争や災害など)と常に隣り合わせで、さらにはユーロであれば離脱問題などもあります。
しかしビットコインは国や地域に縛られず、日本でもアメリカでもユーロ圏でも同一の価値を持つため、こういったカントリーリスクの影響を受けません。
そして、なんといっても「両替をする必要がない」という強みを持っています。
海外旅行に出かけた時、結構困るのが外貨への両替です。
海外で買い物をする時、日本円が使えないので現地の通貨に両替をする必要があります。また余った通貨は日本に持って帰る時に両替をしますが、両替の度に1割近くの手数料が取られてしまいます。
もしビットコインを持っていれば海外に行っても両替の必要がなく、そのまま利用することができます。
まさに「世界統一通貨」としての価値を持っているのがビットコインなのです。
さあビットコインの世界へ
ビットコインの仕組みについて簡単にまとめてみました。
現在は投資をメインとして保有・取引している方がほとんどですが、それだけでなく円建て資産の防衛や海外でのお買い物などにも役立ちます。
また電子マネーとしての役割も期待されていて、日本でもビットコインが使える店舗も増加しています。
ビットコインが世界に巻き起こす旋風を、見ているだけでなくぜひ一緒に実感していきましょう。